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アクティビティとしての話し合いの形態(小学級経営)

 先日の「話し合いができるようになるためのアクティビティ」では、児童が友達に自分なりの理由を持って賛成や反対を発言できるようになるためのアクティビティを紹介しました。そこで今回は、実際の,話し合いの形態について説明します。この形態も、スモールステップを踏まえたアクティビティとなっています。

   ・スモールステップ その1 「スクエアディスカッション」
 これは、学級会でよく使われる机を方形に並べて行う 形態のアクティビティです。児童に指示しやすくするため、四角になることから「スクエアディスカッション」 と名付けています。この「名付ける」ということも重要で、指示が簡単になるだけでなく、児童にとっても張り合いがあるものになるので、格好をつけた名前づけをよくしています。最初は、学級会はこの形 式で行っていきました。なお、新学習指導要領では、学級活動の中心として話し 合いが位置づけられていています。そして、学級会は「学級や学校の生活づくり」で中心的な役割を果たすとされ、司会などの計画委員会に触れられています。でも、この「スクエアディスカッション」は、「全員が全員の顔を見て発言できる」ということを目的とした形態なので、最初は計画委員会などは入れませんでした。そして、慣れたら、そのような児童にまかせるようにしました。
 このアクティビティでは、今まで学んできた発言のルールを活用して行います。発言の手を挙げる時は必ずハンドサインを示します。そして指名されたら、立って全員が自分の方を見ているかをチェックして(見ていなければ注意をして)、「私は○さんに賛成で、理由は△△です」と発言します。四角く並んでいるので、みんな発言者を見やすく、互いのハンドサインもわかりやすいので、最初はこの形態で話し合いに慣れさせていきます。

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   ・スモールステップ その2 「サークルディスカッション」
 次は、黒板の前に椅子を持って出てきて半円形に座る、「サークルディスカッション」です。これは、理科などの学習において話し合いを行う時の体型です。勿論、ハンドサインや発言のルールは、「スクエアディスカッション」と同様にやっていきます。さらにこれだと、黒板を使っての話し合いがしやすくなりますし、お互いが近くなるので話し合いが行き詰まった時にはちょっとした相談もしやすくなります。特に理科では、黒板いっぱいに「コミットメント表」(明後日紹介する予定です)を書いて、それを使って話し合いを行います。 欠点としては、隣同士での無駄話が多くなってしまうことと、発言者を全員が見ることは「スクエアディスカッション」よりも難しいことが挙げられます。
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   ・スモールステップ その3 「エリアディスカッション」
 今までの話し合いの体型は、児童は座ったままで動きませんでした。そこで、最後のスモールステップは、児童が自分の意見が変わると自分で陣を動く、陣取り合戦的な「エリアディスカッション」です。まず、教室の机と椅子を全部後ろに片付けます。それから、いくつかの考えを出し合い、その考えごとにグループ(陣)をつくって床に座ります。例を挙げると、3年生の理科「磁石の性質」の発展で、磁石を半分に切った時の予想として、「切ったところはその反対側と同じ極になる」「違う極になる」「切ったところは極がなくなってしまう」の3つが出たとします。すると、それぞれに賛成する児童が集まって、教室内に3つの陣を作ります。そして、話し合いを始めます。こうなると、「簡単ディベート」のように、相手に対して反対意見をその理由と共に述べたり、自分の陣が正しいと思う理由を発言する話し合いとなります。そして、もし相手の意見に納得したら、「私(ぼく)は、~さんの意見に納得して異動します」などと述べて、その陣に移動します。このように、自分の考えの変化によって、児童が陣を移動していくのが、この「エリアディスカッション」の特徴です。このように、これは児童たちの考えがリアルタイムで分かる話し合いです。 4
 学習事項をどんどん教え込んでいけば、確かに能率的に授業を進められます。それに対して、このような話し合いをしながら学習を進めていくと、どんどん時間はかかってしまいます。でも、例えば理科では、児童の素朴概念を引き出したり、科学的な思考を導き出すことができ、その後の実験による概念変換をよりしっかりと定着させることができます。毎次必ずというわけにはいかないでしょうが、各単元で1回は、予想や実験結果の解釈の段階でこのような話し合いをさせてみてはどうでしょうか。


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