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2012年11月

なんでサクラを観察するの?(小4理科)

 小学校4年生では、1年間の季節の変化を調べます。その観察対象として、どの教科書も共通してサクラを挙げています。これはなぜなのでしょう。

 小学校の校庭にはサクラが植えてあるから? それもあるでしょう。でも、もっとつっこんだ理由があるのです。沖縄を除いた小学校の校庭のサクラは、全て「ソメイヨシノ」という種類のサクラなのです。サクラと言っても、じつはエドヒガン、オオシマザクラ、エゾヤマザクラ、ミヤマザクラなどたくさんの種類があります。それに加えて、人間が品種改良して作り出したものを含めると、それだけで1冊の図鑑ができてしまいます。(実際に何冊も出ています) その中で、なぜ校庭のサクラはみなソメイヨシノなのでしょうか。それは、花が葉より咲きに咲くので見栄えがよく、さらにその花が大きいので美しい観賞用のサクラの代表だからです。
 そして、もう1つ理由があります。ソメイヨシノは、江戸末期から明治初期に、江戸の染井村でエドヒガンとオオシマザクラの交配によって産まれた雑種です。そして、雑種のために種子からは育ちません。ではどうやってこんな短期間に全国に広がったのでしょうか。それは、接ぎ木によるものです。つまり、全国のソメイヨシノは遺伝的には同一のもの、クローンなのです。
 ですから、東西に長い日本列島をあつかった理科の教科書において、どこでも同じものを観察できるものとして、ソメイヨシノはぴったりなのです。また、平均気温が0,2℃違うと開花が1日遅れると言う性質があるので、全国での比較がしやすいのです。
 以上のような理由で、季節の観察にはサクラ(ソメイヨシノ)が大きく取り上げてあるのです。これらのことを直接子どもたちに伝える必要はありませんが、理科を教える者として、知っておいた方がいいことだと思います。
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モンシロチョウが卵を産んでくれない?(小3理科)

小学校3年生では、生活科からの移行過程のひとつとして、モンシロチョウを育てる単元があります。ただ、モンシロチョウの幼虫を採ってきたのでは、多くの場合アオムシコマユバチが寄生しており、途中で染んでしまいます。ですから、卵を採集するか、成虫のモンシロチョウを捕まえてきてキャベツに産卵させるのが理想です。

 ただ、せっかく捕まえてきたモンシロチョウが、キャベツに卵を産んでくれない場合があります。じつはこれは、モンシロチョウとよく似たスジグロシロチョウを捕まえてきてしまった場合が多いのです。慣れると、跳んでいてもその羽根のスジのつきかたで区別がつきますから、意識してみましょう。
 モンシロチョウは、アブラナ科の野菜に卵を産み付けます。それに対して、スジグロシロチョウは、ナズナなどの野生のアブラナ科に卵を産み付けます。ここまできて、カンのいい人は気付いたかも知れません。じつは、モンシロチョウは、奈良時代にダイコンなどとともに日本にやってきた「外来生物」なのです。そして、日本在来のスジグロシロチョウの幼虫は、同じアブラナ科でも、在来(野生)のものの葉を食べるのです。これは、イネといっしょにやってきたスズメも同じです。私たちは、江戸時代末期以降にやってきたものを「帰化生物」と認識していますが、ずっと昔から「帰化生物」は日本にやってきており、私たちはそれを日本本来の生物と勘違いして触れ合ってきたのです。
 そんなことを知っていおくのも、面白いと思いますよ。

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「野の草なまえノート」

 絵本と図鑑の中間的な本として、花の種類を知ったり調べたりするのに使うのに、文化出版局の「野の草なまえノート」がいいでしょう。28種の野の花の絵とその解説が載っているほかに、100種類近くの植物の写真も載っています。ちなみに、小学生時代の長男のお気に入りの本でした。
 解説も面白く、大人でもなるほどと頷く事が書いてあります。シリーズ物なのでそろえてもいいですね。

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「小学校理科の実験・観察ナビ」

 ドリルやテスト等の教材の出版社で知られる日本標準 から、小学校の理科での実験や観察に役立つ本が、上下2巻で出ています。まだ経験の浅い先生や、理科の授業が苦手な先生などは、購入してもいいのではないでしょうか。

 
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マッチの使い方(小4以上理科)

 今の仕事柄、野外炊飯(カレーライスづくり)の説明と指導をよくします。対象は主に5年生なのですが、見ていると、マッチを擦れない子がかなり見られます。一応4年生で学習したはずなのですが・・・・・

 ということで、マッチの使い方をここでもう一度復習してみましょう。
 マッチは、軸の先端の薬剤(頭薬)とマッチ箱の側面に着いている薬剤(側薬)を勢いよくすり合わせる事で頭薬に火をつけます。頭薬には、酸化剤として塩素酸カリウム、燃焼剤としてイオウや松ヤニ、軸につける接着剤としてニカワなどが使われています。一方の側薬には、発火剤として赤リンや塩化アンチモン、紙につける接着剤として合成樹脂などが使われています。そして、マッチをすると、その摩擦熱で側剤の赤リンが燃えます。それが頭剤に移り、イオウや待つヤニに火がつくのです。このマッチをする時、摩擦熱で232℃以上を出さないとイオウが燃えません。ですから、怖がったりしてゆっくり擦っていたのでは、マッチに火はつきません。
 マッチをする時は、箱の中にあるマッチの頭薬が手前になるようにマッチ箱を持ちます。そして、もう一方の手の親指と人さし指、中指でマッチ棒を持ちます。それから、手前から向こう側に向かってマッチを擦ります。勿論この時、その先には人がいないように注意をします。そして、マッチに火がついたら、軸を横にして頭薬の火が軸に燃え移るまでしばらく待ちます。そして軸が安定して燃え始めたら、その火をアルコールランプの軸などにつけます。
 4年生の理科の時間に、多くても数回、そのような経験をしただけでは、マッチを擦ることができるようになるのはなかなか難しいものです。高学年になると、女子などは怖いと言って男子に頼んでしまう事も多いようです。ぜひ、機会を意識的につくるようにして、全員が安全にマッチで火をつけられるようにしたいものですね。

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図鑑の代りになる本(小3・4理科)

 植物の種類を調べる時は、当然のように図鑑を使いますね。ところが、案外図鑑とは使いにくいのです。それは、載っている種類が多いからです。小学校での学習に本当に関係してくる植物は、それほどありません。

 ですから、図鑑の代りに、こんな本を購入したら同でしょうか。さ・え・ら書房 からでている「母と子の植物ガイド」全3巻です。50ページほどの3冊の本に、身近な草花231種が載っています。そして、丁寧な説明も書かれています。小学校では、この程度の本で十分です。もしよかったら、理科室の蔵書として購入してはどうでしょうか。
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ホットプレートで加熱(小理科)

 前回では、実験用ガスコンロについて紹介しましたが、もっと身近なもので便利な加熱器具があります。それは、「ホットプレート」です。これには調整機がついているので、温度を約160〜200℃に保つ事ができます。また、アルコールランプなどのように炎を使わないので、引火する危険もありません。ただ、やけどの危険は同様にあるので、それには気をつけるようにしましょう。

 ホットプレートを使う時の注意としてまず大切なのは、消費電力をチェックする事です。ホットプレートはたくさんの電気を使うので、複数使用する時は、ブレーカーの容量を超えないようにしましょう。また、学校の備品として使用するのでなく、家庭で使っているものを持ってくる時などは、実験で汚さないようにプレートにアルミホイルを敷くようにしましょう。
 具体的にホットプレートだとより安全で便利な実験の例を挙げると、スライドガラスに落とした食塩水を加熱して食塩をとり出す実験があります。ガラスは、炎で偏った温め方をすると割れてしまう事がありますが、ホットプレートではそんなことはおきません。ただし、スライドガラスを取る時は、ピンセットなどを使い、やけどをしないようにしましょう。
 このほかにも、液体が固体になる時に退席が減る様子を示す場合は、ビーカーにろう(パラフィン)を入れてホットプレートで温めて溶かし、それを冷やすことで、これを容易に見せる事ができます。
 また、葉にデンプンができるか調べる時にエタノールで脱色をしますが、普通は引火を避けるために湯煎をしますね。でも、これもホットプレートで直接熱する事ができます。ただし、エタノールが気化しますので、換気はしっかりするようにしましょう。
 このように、ホットプレートは理科の実験に意外と使えます。試しに家にあるものを使ってみて、うまくいくようだったら備品として購入してはどうでしょうか。

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実験用ガスコンロ〔小理科〕

 最近は、加熱装置としてアルコールランプではなく、実験用ガスコンロを使う学校が増えてきました。アルコールランプに比べてかさばるものの、火力の調整ができるのが大きな魅力です。また、アルコールランプよりも火力が強いため、速く加熱する事ができます。

 使う時は、まずテーブルの上を片づけましょう。そして、ぬれたぞうきんを用意しましょう。次に、つまみが「消」になっているのを確認してから、ボンベを取り付けます。この時、ボンベの切り込みをコンロのガイドに合わせて、確実に取り付けるように注意しましょう。
 実験に入るには、ステージに加熱するものを載せます。温度計などを使う場合は、横にスタンドを置いて、そこからぶら下げるようにしましょう。
 そして、つまみを「点火」にします。この時、横から見て、火がついたかを必ず確認するようにしましょう。そして、つまみを回して、炎の強さを調節します。
 実験が終ったら、つまみを「消」のところに回します。そして、横から見て火が消えている事を必ず確認します。そして、ボンベを外します。
 ビーカーなど実験で加熱したものは、冷えるまでしばらくおいてから触る事を忘れないようにしましょう。
 使い慣れると便利な機器ですが、やはり火を使う道具です。子どもたちには、いつも安全に注意して使わせるようにしましょう。

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