教育全般

学級での読み聞かせ(小学級経営)

 堅い話が3回続いたので、ここでちょっと息抜きを。

 私が学級担任をしていた頃は、いつも理科を教えていた訳ではありません。転任した学校では、最初は高学年を持たされて理科を教えているのですが、だんだんと下の学年に回されて、最後には1、2年の担任に回されることがよくありました。もちろん、その年は理科は教えません。おかげで、教師の象徴交流をしている群馬県で、小学校1年生から中学校3年生までの全義務教育の担任を経験することがありました。そしてなぜか1年生は3階も担任し、4年生に次いで担任の経験の多い学年となってしまいました。

 1年生や2年生の学級経営でよくやっていたのは、読み聞かせです。このことを中心に実践してらっしゃるのはりたりた先生です。彼女のブログにはいろいろな絵本が紹介されていますのでそちらにまかせるとして、私は「読み聞かせ専用」の小冊子のシリーズを紹介しようと思います。それは、東京子ども図書館の「おはなしのろうそく」です。文庫本よりも一回り小さい48ページの手帳サイズの本で、一冊480円で28巻まで出ています。各巻にいろいろな読み聞かせの話が紹介されているうえに、読み聞かせにかかる時間や対象、読み聞かせ方なども載っている、類書のない本です。

 もし低学年(使い方によっては、中学年、高学年でも使えます)を担任している方がいらっしゃったら、購入してみてはどうでしょうか。

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アクティビティとしての話し合いの形態(小学級経営)

 先日の「話し合いができるようになるためのアクティビティ」では、児童が友達に自分なりの理由を持って賛成や反対を発言できるようになるためのアクティビティを紹介しました。そこで今回は、実際の,話し合いの形態について説明します。この形態も、スモールステップを踏まえたアクティビティとなっています。

   ・スモールステップ その1 「スクエアディスカッション」
 これは、学級会でよく使われる机を方形に並べて行う 形態のアクティビティです。児童に指示しやすくするため、四角になることから「スクエアディスカッション」 と名付けています。この「名付ける」ということも重要で、指示が簡単になるだけでなく、児童にとっても張り合いがあるものになるので、格好をつけた名前づけをよくしています。最初は、学級会はこの形 式で行っていきました。なお、新学習指導要領では、学級活動の中心として話し 合いが位置づけられていています。そして、学級会は「学級や学校の生活づくり」で中心的な役割を果たすとされ、司会などの計画委員会に触れられています。でも、この「スクエアディスカッション」は、「全員が全員の顔を見て発言できる」ということを目的とした形態なので、最初は計画委員会などは入れませんでした。そして、慣れたら、そのような児童にまかせるようにしました。
 このアクティビティでは、今まで学んできた発言のルールを活用して行います。発言の手を挙げる時は必ずハンドサインを示します。そして指名されたら、立って全員が自分の方を見ているかをチェックして(見ていなければ注意をして)、「私は○さんに賛成で、理由は△△です」と発言します。四角く並んでいるので、みんな発言者を見やすく、互いのハンドサインもわかりやすいので、最初はこの形態で話し合いに慣れさせていきます。

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   ・スモールステップ その2 「サークルディスカッション」
 次は、黒板の前に椅子を持って出てきて半円形に座る、「サークルディスカッション」です。これは、理科などの学習において話し合いを行う時の体型です。勿論、ハンドサインや発言のルールは、「スクエアディスカッション」と同様にやっていきます。さらにこれだと、黒板を使っての話し合いがしやすくなりますし、お互いが近くなるので話し合いが行き詰まった時にはちょっとした相談もしやすくなります。特に理科では、黒板いっぱいに「コミットメント表」(明後日紹介する予定です)を書いて、それを使って話し合いを行います。 欠点としては、隣同士での無駄話が多くなってしまうことと、発言者を全員が見ることは「スクエアディスカッション」よりも難しいことが挙げられます。
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   ・スモールステップ その3 「エリアディスカッション」
 今までの話し合いの体型は、児童は座ったままで動きませんでした。そこで、最後のスモールステップは、児童が自分の意見が変わると自分で陣を動く、陣取り合戦的な「エリアディスカッション」です。まず、教室の机と椅子を全部後ろに片付けます。それから、いくつかの考えを出し合い、その考えごとにグループ(陣)をつくって床に座ります。例を挙げると、3年生の理科「磁石の性質」の発展で、磁石を半分に切った時の予想として、「切ったところはその反対側と同じ極になる」「違う極になる」「切ったところは極がなくなってしまう」の3つが出たとします。すると、それぞれに賛成する児童が集まって、教室内に3つの陣を作ります。そして、話し合いを始めます。こうなると、「簡単ディベート」のように、相手に対して反対意見をその理由と共に述べたり、自分の陣が正しいと思う理由を発言する話し合いとなります。そして、もし相手の意見に納得したら、「私(ぼく)は、~さんの意見に納得して異動します」などと述べて、その陣に移動します。このように、自分の考えの変化によって、児童が陣を移動していくのが、この「エリアディスカッション」の特徴です。このように、これは児童たちの考えがリアルタイムで分かる話し合いです。 4
 学習事項をどんどん教え込んでいけば、確かに能率的に授業を進められます。それに対して、このような話し合いをしながら学習を進めていくと、どんどん時間はかかってしまいます。でも、例えば理科では、児童の素朴概念を引き出したり、科学的な思考を導き出すことができ、その後の実験による概念変換をよりしっかりと定着させることができます。毎次必ずというわけにはいかないでしょうが、各単元で1回は、予想や実験結果の解釈の段階でこのような話し合いをさせてみてはどうでしょうか。


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話し合いができるようになるためのアクティビティ(小学級経営)

 学級の児童に話し合いをさせようとしても、急にはできるものではありません。活発で深まりのある話し合いができる学級に育て上げるには、計画的で長期的、そして具体的な計画が必要です。そのための学級づくりや発言のルールなどについては、先日の「話し合い(討議)ができる学級に」で述べました。
 そこで今回は、話し合いができるようになるための、スモールステップを踏んだアクティビティを紹介します。これらは、自分なりに考え出したものなので、「こんなアクティビティがあるよ」という方がいれば、ぜひコメントをお願いします。話し合いで大切なのは、相手に対し果て自分の意見(賛成か反対か)をしっかりもてること、そして、その理由ときちんと考えられること、そしてそれを発言できることです。これがみんなでできるようになると、話し合いが子供達自身の力で深まっていきます。そのようなことに慣れるための2段階のスモールステップを踏んだアクティビティを紹介します。

   スモールステップ その1 「つなげて伝言ゲーム」 
 これは、誰もがしっている「伝言ゲーム」をもとにしたものです。
 まず、このアクティビティは、「伝言ゲーム」のように正確さや速さを競うのではないことを確認します。そして、単に言葉を伝えるだけなのではなくて、前の人の考えを聞い て,それに対する自分の考えを後ろに伝えるものであることを説明します。そして、10人程度の列になります。
 それから、先頭の児童が教師ののところに集まって,「テーマ」(例えば「カブトムシ」)を聞きます。先頭の児童は戻って、テーマとそれについての自分の意見、その理由を後ろの児童に伝えます。例えば、「ぼくはカブトムシが好きです。理由はかっこいいからです」などです。この時、「伝言ゲーム」のようにひそひそ声でする必要はありません。みんなに聞こえる声で伝えるようにします。 そして、言われた児童はふり返って、後ろの児童に、前の人の意見に対する自分の態度(酸性化反対か)と意見、そしてその理由」を伝えます。例えば、「私は○さんの意見に反対で、カブトムシはきらいです。その理由は、持つのが怖いからで
す」などです。そして、これを一番後ろの児童まで繰り返していきます。そして、最後の児童は、前の児童に対して言います。
 慣れるとすぐにできるアクティビティなので、帰りの会などに行うことができます。最初はみんなが好きなものから初めていきましょう。そして慣れてきたら、だんだんとカエルなどといった、児童によって意見が分か れるものへとテーマを変えていきましょう。このアクティビティを繰り返し行っていく中で、児童は楽しみながらも、友達の意見をしっかりと聞き、,反対もできるようになります。そして、同じ事についても、人によって色々な考え方があることに気付いていきます。

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   スモールステップ その2 「簡単ディベート」
 これは、,相手を論破しようと自分なりの根拠を考え、それを伝え合うアクティビティです。
 まず、学級を、左右に等分して二つのグループとして、互いに向かい合わさせます。次に、あい対する二つの項目を決めます。例えば「ご飯とパン」、「ラーメンとカレー」など、最初は食べ物の組み合わせが良いでしょう。次に、代表がジャンケンをして,自分たちの項目(例えば「パン」の方)と先攻後攻を決めます。すると、負けた方がもう一方のもの(例えば「ご飯」)になります。そして、自分がそれが大好きだとして、その根拠を考えます。必要に応じて、グループ内で相談したり、メモを取ったりします。
 そして、アクティビティの開始です。先攻のチームが挙手し、その中から教師が指した1人が、いかにそれが好きかについて発言をします。例えば「私は,パンが好きです。その理由
は,サンドイッチは色々挟めるからです。」などです。次に、後攻のチームが挙手して、やはり1人が発言します。この時、必ず今までに発言した人に反対か賛成をして、その根拠を言うようにします。例えば、 「ぼくは□さんに反対でご飯が好きです。理由は,ご飯だっておむすびにすれば,中に色々入れられるからです。」といったところです。これを、交互に1人ずつ繰り返していきます。食べ物だと、児童も結構燃えてきます。そして、15分程度続けたあと、今度は立場を逆転して後半戦を行います。最初は混乱する児童もいるでしょうが、すぐに、今までと全く反対のことを主張するようになります。
   そして、通常のディベートと異って討議の内容で勝敗はつけません。勝ち負けは、次のように決定します。
 ・チームとしては、発言した児童の実人数(延べ人数ではない)の多い方が勝ち。
 ・個人としては、1回反対意見を言われると1点とし、点数の1番多い児童が1位。
 初めは食べ物でやっていき、慣れてくると、「晴れた日と雨の日」などといろいろな課題を出していきます。すると、こちらが考えもしなかったような理由を言ってくることがあります。

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 この二つのアクティビティは、1回ですむものではなりません。ちょっとした間を見つけて繰り返すことが大切です。私の場合、授業参観でやったこともありました。子供達の考える力が伸びると、特に「簡単ディベート」は聞き応えのあるものになります。ですから、1学期に行ったものと、3学期に行ったものでは、質的に大きく違います。
 ちょっとした時間にできますので、ぜひやってみてください。


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話し合い(討議)ができる学級に(小学級経営)

 5月28日の書き込みで、自分の行ってきた理科の学習法として討議(話し合い)があることを書き込みました。この学習法は勿論理科だけでなく他の教科・領域でも活用してきました。ただ、このような話し合いは、やろうとしてもすぐにできるものではありません。ですから、(群馬県は小中交流をしているのので)小学校と中学校のどちらにおいても、学級経営の柱の一つとして毎年取り組んできました。
 この話し合いをできるようにする手だてとしては、発言しやすい民主的な学級づくり、学習のルールづくり、話す事への抵抗感をなくすこと、そして話し合いに慣れるアクティビティなどが挙げられます。そこで今回は、学級づくりと発言のルールづくり、話すことに慣れるためのスモールステップについて、毎年取り組んできたもののうち、ある郡部の小学校の3年生で行った実践を紹介します。楽しく話し合いを行うためのアクティビティの紹介は後日また行います。

 話し合いなどの学び合いを行うための基盤となるのは、多様な考えを自由に表明し合い、それを素直に受け入れられる、民主的な学級風土です。それによって、ただ発言するだけでなく、互いに聞き合う学習態度が育成され、「子ども同士の相互作用」という大きな力を産むことになります。このような学級づくりのために、年度当初から、全教科・領域はもとより、学級での生活全般において、教師としては次のようなことを行っていきました。

・発言や会話の時に児童が自分の言葉で話せるように、言葉に詰まった時も聞く態度を崩さず、辛抱強く待つ。それでも言えない場合は、優しくリードを試みていく。
・授業中に発言した児童に対しては、必ずコメントを返すことでその行為を認めていく。
・どのような発言に対しても、肯定的に受け入れる態度を示すことで、発言者に安心感を持たせる。さらに、発言者や発言内容を笑ったりする児童に対しては毅然とした態度で臨むことにより、どのような発言でも大切にすべきであることを児童に示していく。
・言いたいことを十分に伝え切れない発言に対しては、補助質問によって内容をはっきりさせる。さらに、それをわかりやすくまとめて返してやることによって、それを聞いている他の児童だけでなく、発言者自身にとっても言いたいこと明確にさせていく。

 このような取り組みを常時行っていくことで、互いを認め合う、発言しやすい雰囲気が
徐々に形作られていきました。でも、発言の量についてはさほど増えず、それも教師に向けられてのもので、とても「学び合い」になるものではありませんでした。そこで、この学級の雰囲気の上に立って、発言のルールづくりを行いました。確かに、形から入るのはあまくりよいこととは言えないかもしれませんが、基本を徹底するためには、このようなことも必要であると思います。

 まず、発言の終わり方の徹底です。年度当初は、児童のほとんどが「ハイハイハイ」と無闇に声を上げ、発言は算数では「5 」といった、単語のみというのが実態でした。そこで、新年度も第2 週となって学習が軌道に乗ったところで、まずは発言の終わり方について次のようなルールを導入しました。

・自信のある時は、「~ ~ です。」という形で発言を終わりにする。
・自信がない時は、「~ ~ だと思います。」という形で発言を終わりにする。

 最初は言い忘れる児童の方が多いくらいでしたが、その時には「何か言い忘れているよ」などと温和に指摘することで、発言に対する拒絶感を持たせないような配慮をしながら習慣づけていきました。また、周囲の児童が「ほら、『です』って言って、言って」と優しく促す暖かい雰囲気が形成されたことも、大きなプラスとなりました。このようなことを通して、あまり時間もかからずに、発言の終わり方は徹底されていきました。ただ、声の大きさは改善できず、全体的に小さいものでした。

 そして4 月下旬となり、学級が前述のような民主的な雰囲気になってきました。そこで、発言は友達に向かってするものであり、それを聞くことが授業では重要なのだと言う意識を児童に持たせるさせるために、次のことを新たなルールとして導入しました。

・発言者は、他の児童の方を向いて発言する。
・他の児童は、発言者の方を向いて発言を聞く。

 なお、発言者は単に他の児童の方を向くだけでなく、みんなが自分を見ていることを確
認し、必要とあれば友達に注意をしてから発言をするようにさせました。みんなに注目されて発言することに違和感を感じる児童もいましたが、この学習習慣が定着するにつれて、自分が友達みんなに見られる中で発言するということが、今までにない発言への意欲に結びついていきました。そして、発言の数が増えるとともに、みんなを注目させることへの強いこだわりを見せる児童が多くなっていきました。
 ただ、発言者がまわりを確認することなどに時間がかかり、授業のペースは落ちてしまいました。けれども、児童が自分たちで聞き合う態度を作り上げていくために、可能な限り待つつようにしました。なお、発言の声が小さめでも、他の児童が注目しているので十分に聞き取れることから、声の大きさについてはそれほど細かくは指導しませんでした。今から考えれば、これもきちんと指導すべきだったと思います。

 次に、発言を聞くだけでなく、それを自分の考えと比べることができるように、次のような発言の繋げかたを、5 月の半ばに導入しました。

・「私(ぼく)は~さん(君)に賛成で、~~です」
・「私(ぼく)は~さん(君)とは違う意見で、~~です」

 最初は言い忘れる児童も多かったですが、児童が互い指摘し合うことで、発言の際には友達の名前が挙げられるようになりました。そして、自分の発言に言及された児童は、学級における自分の存在感を実感するようになり、今まで以上に言葉を選んで発言するようになりました。ただ、必要ない時にも「同じ発言」が何回も発言されるようになってしまいました。そこで、教師が『ほかの意見』を求めた時には「同じ発言」を言ってもいいこととし、『別の意見』を求めた時には「同じ発言」は言わないというルールを追加しました。

 6 月になると、話し合いの形態におけるスモールステップの第2 段である、「スクエア
ディスカッション」というアクティビティを行うようになりました。(後日紹介します) そこで、発言する前から自分の立場をはっきりさせるために、手を上げる時には、次のようなハンドサインをするように定めました。

・前の発言と賛成の場合 : V サイン
・前の発言と反対の場合: グー
・自分の意見を変える場合: 人差し指を立てる
・今までとは別の意見 : パー

 これによって、話し合いの中で互いの意見を絡み合わせることが容易になりました。

 発言のルールづくりと同時に、児童の話す力を高めるために、日直が行うスピーチ活動を朝の会で始めました。発言のルールづくりは1 学期に完成を目指したのに対して、こち
らは1 年をかけてのスモールステップを積んでいきました。

.スモールステップ1 「○ 文スピーチ」( 1 学期)
 年度当初は、全員の前ではほとんど話すことができない児童が多いのが実態でした。そこでまず初めは、あるテーマについて3 つの文で話す「3 文スピーチ」から始めました。1 番最初のテーマは「自分の好きな食べ物」としました。そして、何テーマか行って児童が慣れてくると、「5 文」「7 文」と、スピーチの量を増やしていっきました。このように徐々に長くしてくことで、児童の話すことへの抵抗は少なくなり、1 学期末には「11 文スピーチ」をほぼ全員ができるようになりました。

.スモールステップ2  「○ 秒スピーチ」( 2 学期)
 2 学期は、文の数でなく秒数でのスピーチ活動としました。最初は「20 秒スピーチ」としましたが、11 文を言える児童にとっては、すぐにクリアできました。そこで、「30 秒」「40 秒」
と伸ばしていきました。

.スモールステップ3  「1分間スピーチ」から「時間無制限スピーチ」へ( 3 学期)
 3 学期は、まず「1分間スピーチ」から始めました。さすがにこれは長く、1回では話しきれずに何回も挑戦する子がでました。そこで、必要とあればメモを隠し持って、ちらっとなら見てもいいことにしました。でも、慣れてくるにつれて、メモを見ることもなく1分話し続けられるようになりました。そこで、2月中旬から、最終目標である「時間無制限スピーチ」に挑戦することにしました。今まで時間を計るのに使っていたキッチンタイマーはストップウォッチとしても使えたので、それで自分がどけだけ話し続けられるか挑戦するようにさせました。すると、学年末には全員が1分以上、3 分を超えた児童が何人も出る結果となりました。

 このような、常に意識した取り組みと後日紹介するアクティビティにより、活発に発言し互いに考え合う学級が形成されました。このような学級になると、授業をする方も楽になり、子どもたちも楽しく主体的に授業に取り組んでくるようになります。
 もしよかったら、参考にしてみて下さい。


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小学校1年生が35人学級に

 以前から、「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案が出されていました。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/1302025.htm

 これは、小学1年生を35人学級にするというものが中心となっています。ただ、2年生以上は従来の40人学級のままです。この法案が、先日国会を通り成立しました。群馬県は以前から小学1年生の35人学級を行っていますが、少人数で成果が上がる一方で、2年生になると学級編成になる場合が多く、そのあたりは問題だと思っています。

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 早く、全学級で35人学級が実現されるといいですね。

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2つの読解力、日本古来の読解力とPISA型読解力

 PISA(ピザと呼ぶのが正しい)2003の結果から、日本の「Reading Literacy」が、参加各国・地域の平均値に近いまで落ちている事がわかったこと(PISA2003ショック)で、このReading Literacyがにわかにクローズアップしました。ただ、ここで問題になったのが、他の例えばSicece Literacyが「科学的リテラシー」とほぼ直訳されたのに対して、このReading Literacyが「読解力」と訳されてしまった事です。これによる、我々教育現場の混乱は記憶に歌らしいものです。例えば、ある小学校で「ごんぎつね」の終り方がなぜ三人称なのか、作者の意図を考えさせようとする研究授業を見たことがありますが、これは完全に誤解ですね。ですから、ここで整理をしてみましょう。
 日本古来の学力観は、皆さんもご存知の通り「読み・書き・そろばん」で、今までの読解力は、その「読み」、すなわち「教材としての文章の内容を正確に読み取る」ことを意味していました。
 しかし、PISA型読解力とは、このように定義されています。「自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発達させ,効果的に社会に参加するために書かれたテキストを理解し,利用し,熟考する能力」
 つまり、「読み取る」だけでなく、「それをもとに考え」、「自分の意見と共に具体的に表出」する3つのプロセスがふくまれるのです。そして、この場合の「テキスト」とは。「連続性テキスト」(いわゆる文)だてげなく、「非連続性テキスト」(グラフや図)などまで含まれます。また、表出の仕方も多様です。
 ですから、理科でも、実験結果を予想しその根拠を考えて発言することもそうですし、実験結果から結論を考察し、それをまとめる力も、立派な「読解力」なのです。
 このような理由から、新学習指導要領は、各教科で読解力の向上を試みています。また、それについての指導資料も、文部科学省から冊子とWeb上で同じものが公開されています。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku/siryo/05122201.htm

 さらに文部科学省は、2011年1月12日に、新学習指導要領では「言語活動を充実する」(つまりは読解力を充実する)ということから、「言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】」を公開しました。

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キー・コンピテンシーって?

 みなさんは、リテラシーという言葉と、キー・コンピテンシーという言葉をご存じですか? リテラシーの方は、PISAでも使われていたり、ほかにも「~リテラシー」などという言葉が使われるようになって、身近になってきたようです。でも、その基盤となる「キー・コンピテンシー」という言葉は、まだほとんど知られていません。

 PISA2003の結果が発表された時、日本の子どもの読解力が参加国・地域の平均程度であることがわかり、大騒ぎになりました。これが「PISA2003ショック」と呼ばれるものです。この読解力とは、新しい国際的な学力観であるリーディング・リテラシーを訳したものであり、日本本来の学力観である「読み・書き・そろばん」の「読む」と混同され、一時期だいぶ混乱がおきました。(これを訳した人も、相当困っただろうなぁ)
 このPISAの由来を説明すると、OECDが1990年代に行った調査にまでさかのぼります。それによると、国の経済的発展は、その資源などではなく、人的資産によるという結果が出ました。そこで、各国の人的資産、活用する力を調査しようとPISAが始まりました。この点が、TIMSSと大きな違いです。
 そして、スイスの統計局が中心となったDeCeCo(「コンピテンシーの定義と選択:その理論的・概念的基礎」)プロジェクトにより、PISAの論理的基盤である「キー・コンピテンシー」が提唱されました。文明の衝突を長年経験したヨーロッパの中でも自国語を持たないスイスがこの中心となったのは、非常に暗示的に思えます。なお、日本では、「キー・コンピテンシー」を「鍵となる能力」と訳していましたが、今はあまり聞きません。

 この「キー・コンピテンシー」は、「思慮深さ」(反省性)を核心として、「相互作用的に道具を用いる」「異質な集団で交流する」「自律的に活動する」の3つのカテゴリーに分類されました。これが、最近の国際的な学力観のもととなっています。そして、「習得した知識や技能を実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価する調査」としてPISAが2000年から行われています。その内訳が、科学的リテラシー、数学的リテラシー、読解力(リーディング・リテラシー)、読解力です。

 私がこの「キー・コンピテンシー」という言葉に初めて触れたのは、確か2006年、国立教育政策研究所の目黒分館で、題名がそのもの「キー・コンピテンシー」という、この概念について書かれた本を訳した方からの説明を聞いた時でした。でも、当時はちんぷんかんぷんだったのを覚えています。とは言っても、今でもよくわかりませんが。

 この訳書はちょっと高めですが、今後の教育学について勉強するためには必要な本かも知れません。

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TIMSSとPISAって?

 新学習指導要領発表の前あたりから、国際的な学力比較としてTIMSSとPISAが話題に上るようになりました。この二つの違いは何でしょう?
 TIMSSとは、「国際数学・理科教育調査」の略で、「国際教育到達度評価学会(IEA)」が行う小学4年生と中学2年生を対象とした学力調査です。1964年に第1回の調査が行われて以来、最初はやや不定期でしたが、今は4年ごとに行われています。その内容は、算数・数学と理科において、学校教育で得た知識や技能がどの程度「習得されているか」を調べるものです。その意味では、20世紀型の学力調査といえるでしょう。

 それに対してPISA(ピサと呼ばれるが正確にはピザ)は、学会でなく「OECD(経済協力開発機構)」が行っている学習到達度調査(略してPISA)で、15歳を対象に2000年から3年ごとに行われています。そして、読解力(リーディングリテラシー)、数学的リテラシー、科学的リテラシーについて、「活用する力」を調べるものです。この点から言って、21世紀型の学力調査と言えるでしょう。また、「持続可能性(サスティナビリティ)社会」の発展の条件として人的能力が大きいことが明らかになり、それを調べることから始まった点でも、純粋な学会の調査であるTIMSSとは出発点が異なります。

 日本は、PISAの方を重視しており、その結果(特にPISA2003)の影響が新学習指導要領に見られます。

 なお、TIMSSとPISAが共に行われるのが2011年です。結果が出るまでに1年を要しますので、2012年にどんな結果が出るかが、新学習指導要領の正念場と言えるかも知れません。

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