自然・環境

タンポポ地図はもう使えない(小中理科環境)

 「タンポポ地図」というもねのをご存じですか? タンポポの種類によって地域の自然度を調べる方法で、一時期だいぶ流行りました。具体的には、地図に、外来のタンポポ(セイヨウタンポポやアカミタンポポ)がはえているところと、在来のタンポポ(地域によって違って、トウカイタンポポやカントウタンポポなど)がはえているところをそれぞれプロットします。すると、外来のものが多くプロットされている地域が自然度が低いところで、在来のものが多いところが自然度が高いところ、というものです。
 でも、最近の研究で、このタンポポ地図は意味がないことが分かってきました。それは、外来のタンポポが在来のタンポポに対して「遺伝子汚染」をしていることがわかったからです。具体的には、在来のタンポポに外来のタンポポの花粉がついて種子ができると、それが芽生えて育つタンポポは、外見は外来のタンポポそのものになってしまうということなのです。これがわかったため、タンポポ地図は意味をなさなくなってしまいました。
 児童や一般市民でも調査に参加できる手軽な方法だっただけに、非常に残念なことです。
 このことはまだあまり知られていなくて、タンポポ地図について解説したホームページなどもまだ見かけますが、残念なことです。

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「私の木」を1年間観察(小4理科導入)

 小学4年生の理科では、1年間に渡って自然の移り変わりを観察することになっています。確かに、身の回りの自然の様子全体を観察することが重要ですが、それと平行して「ある一つのもの」に注目して1年間の変化を調べることも大切です。そこで、少人数の学校で、こんな導入をして、その木を1年間観察させてみました。
 「ネイチャーゲーム」で「私の木」というアクティビティがありますが、それを応用したものです。まず、観察する木々はどれにするか決めます。この場合は、校庭に並んだソメイヨシノとしました。別の木でもいいのですが、季節の移り変わりに応じた変化をきちんと示す木を予め選んでおくことがポイントです。
 そして、その指定した10本ほどの木から、自分が1年間責任を持って観察する木を決めるために、「私の木」を行いました。やり方はこうです。まず、二人一組になります。そして、一方がタオルやバンダナなどで目隠しをします。そうしたら、相方が目隠しをした子を10本の中のどれかの木に導いていきます。そして、幹を触らせたり、枝の様子や根の張り方などを確かめさせます。目隠しした子が納得したら、またスタートした場所に連れ戻します。そうしたら、目隠しをしていた子はそれを取って、今自分が触っていた「私の木」を探します。これだけでは、なかなか見つからないと思うでしょう。でも、実際にやってみて下さい。ほとんどの子が、「私の木」を見つけ出します。それができたら、役割を交代してやります。
 こうして、全員の「私の木」が決まりました。(木よりも子どもの数が多いので、1本あたり数人になります) そこで、予め用意しておいたプレートを枝にぶら下げました。
 そして、四季の観察の時には、必ず「私の木」についての観察結果も書かせるようにしました。
 このように、長期的な観察については、観察対象に情緒的なタグをはらせることで、学習に意欲を持たせることができます。試しにやってみてはどうでしょうか。

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CONE (自然体験活動推進協議会)

 自然観察や自然保護の関係の諸プログラム、本などの紹介をしていましたら、いつのまにか4月も終わりになってしまいました。そこで最後に、CONE(Council for Outdoor & Nature Experiences:自然体験活動推進協議会)という団体を紹介します。
 これは、日本自然保護協会や日本ネイチャーゲーム協会をはじめとする、約300の青少年育成団体、自然学校、野外教育団体、スポーツ振興団体、企業などが加入している、自然体験活動を普及・振興するためのネットワークです。そして、特定の研修プログラムや指導員制度がないのが特徴で、CONE加入団体の講座を修了し、団体が認定する資格を取得するとCONE指導者になるシステムになっています。ですから、ネイチャーゲームやPLT等の指導資格を持つ私も、このCONEの指導者でもあります。
 そして、このような指導者に共通したテーマを扱った「自然体験指導者手帳」という本が出ている他、「自然体験活動指導者 安全管理ハンドブック」が公開されています。
 このような、自然観察や自然保護などの組織をつなげるネットワークが存在する事を紹介して、この連載を終わりにします。


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自然体験アクティビティ「ネイチャーエクスプロアリング」

 今回も、日本独自のプログラムの紹介です。
 この「ネイチャーエクスプロアリング」は、財団法人日本レクリエーション協会が「ネイチャー・レクリエーション」の一つとして開発して、普及活動を行っているもので、自然観察とウォークラリーを合体させたようなアクティビティです。

 「ネイチャーサインカード」という指示が書かれたカードに従って自然の中を五感を使って探険し、ポイントで出された質問の採点結果で順位を出すという形式を取っています。

 こうやって紹介してみると、様々な自然体験プログラム、環境教育プログラムがありますね。ネイチャーゲームだけでなく、必要に応じてこれらの中からアクティビティを取り入れて実践していきたいものです。

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自然体験プログラム「アイオレシート」

 今度は、日本が開発した自然体験プログラムを紹介しましょう。

 「アイオレシート(IORE<Illustrations of Outdoor Recreation & Education> SHEET)」は、財団法人「日本教育科学研究所が中心となって編集された、野外体験用のアクティビティ集です。子ども達を対象とし、自然体験活動ばかりでなく、集団活動による教育的効果も視野に入れているのが特徴です。

 「アイオレシート」は63のアクティビティから成り,一つ一つのアクティビティが、手軽にフィールドに持ち出せるようにビニルコーティングされたシートになってい ます。そして、そこには活動のねらいや概要,準備するもの,活動の手順,活動のまとめなどが具体的に整理されて書かれています。そのために,活動に際しては必要なシートだけを抜き出して持ち歩くことができるので,野外での指導に便利です。これは販売はされていませんが、ここが主催する2泊3日の「アウトドアゲーム指導法講習会」で教材としてもらえます。

 さらに、このシートは公開されており、自由にプリントアウトして利用ができるようになっています。その内容は、「アイオレシート目次」からたどって見てください。

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環境教育プログラム「森のムッレ教室」

 アメリカから始まった環境プログラムが続いたので、今度は別の国から始まったものを紹介しましょう。
 この「森のムッレ教室」は、1956年に、ヨスタ・フロム氏とスティーナ・ヨハンソン氏を中心に、スウェーデンの野外生活推進協会によって開発された自然教育プログラムです。これは、、幼稚園や保育園で導入されるようになりました。その理由は、他のプログラムと異なり、特に幼児を対象としているという点からです。ですから、ムッレという森の妖精が登場し、子ども達に自然の大切さを伝えるという形をとります。
 まず、3、4歳を対象とした、「クニュータナ教室」があり、それを受けて5、6歳を対象とした「ムッレ教室」、そして次の段階として小学校低学年を対象とした「ストローバレ教室」、さらに高学年を対象とした「フリールフサレ教室」と、体系的な教育プログラムがつくられています。
 日本では、「日本野外生活推進協会(森のムッレ協会)」がライセンスを取得して、普及活動を行っています。ここが主催する1泊2日の研修を受ければ、リーダーとして「森のムッレ教室」を開くことができます。

 私も、この幼児を対象としている点に興味を持っているので、機会があれば研修を受けてみようと考えています。
 この「森のムッレ教室」については、本が出ていますので紹介をしておきます。


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環境教育プログラム「プロジェクト・ウェット」

 「プロジェクト・ウェット」は、WETの名の通りに水に関する環境教育プログラムです。名前から察するとおり、「プロジェクト・ワイルド」とは姉妹関係にあります。

 これは、1984年に、ノースダコタ州の水委員会で最初のプログラムがつくられて以来、アメリカ政府からの支援によって全米へ広がりました。今は、モンタナ州ボウズマンに、プロジェクト・ウェット・インターナショナルの本部が置かれています。

 このプロジェクト・ウェットの目標は、水資源に対する認識、理解、知識、責任感を促して奨励することにあります。このため、水辺に限らず、水全般について、自ら考えながら楽しく学ばせる工夫がなされているのが特徴です。

 日本では、財団法人「河川環境管理財団」「プロジェクトWETジャパン事務局」と認められて、普及に努めています。これも、1日かけての講習会を受けた者が、テキストブックをもらいエデュケーター(指導者)になるシステムになっています。講習会は日本のあちこちで開かれているので、調べてみるのもいいでしょう。

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環境教育プログラム「プロジェクトラーニングツリー(PLT)」

「プロジェクトラーニングツリー(PLT)」は、その名の通り、樹木や森林をきっかけとして、自然への気づきに導き、環境問題に関心を持ってもらう環境教育プログラムです。これもアメリカが発祥で、1970年代半ばに環境教育の草分けとして、教育庁と自然資源局が連携して始められたのがもとになっています。そして、森林のあるところはもちろん、木が1本しかない町中でもできるように、様々なアクティビティが用意されています。

 日本では、特定非営利活動法人「国際理解教育センター(ERIC)」が、テキストの日本語訳や出版、指導者の育成などの普及活動を行っています。テキストには、「『木と学ぼう』木」活動事例集 - PLT ACTIVITY GUIDE K-6 -」のほか、「PLT Places We Live わたしたちの住む場所」「PLT Energy & Society -子どもたちと地球温暖化問題を考えるエネルギー教育-」などがありますが、書店では取り扱っておらず、ERICに直接注文する形になります。

 私もこのファシリテーター(指導者)の資格をとりましたが、グループ別に自然環境を模造紙に書いて、それを組み合わせて大きな環境を作り上げていくような、室内でもできるアクティビティがあるのも特徴です。

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環境教育プログラム「プロジェクト・ワイルド」

 「ネイチャーゲーム」に続いて紹介するのは、「プロジェクト・ワイルド」です。

 これは、野生生物をテーマとした参加体験型の環境教育プログラムです。アメリカで開発され、各州の教育局と資源管理局の代表で構成される環境教育協議会が運営しています。ネイチャーゲームが自然への気づき・一体感を目指しているのに対して、プロジェクト・ワイルドは、自然への気づきや理解から始まりますが、それだけに留まらず、生態系などの知識を得ることで、それに対する人間の役割などを理解し、最終的には自然に対して責任ある行動や建設的な活動ができるようになることを目的としています。

 そのため、プログラムには、基本の「本編」と、その発展の「水辺編」のほかに、「サイエンス&シビックス」という環境問題のしくみを理解し、解決するための知識を得て行動を起こすプログラムがあるのが特徴です。

 また、ネイチャーゲームと異なり、市販の本などは一切出ていません。泊を伴った養成講座(年150回程度)に参加して(そこで分厚いテキストをもらいます)、その理念と指導法をきちんと学んだものが「エデュケーター(指導者)」になるという、指導者としての質を保つシステムを取っています。でも逆に、そのために知名度が低いという欠点もあります。このことは、これから紹介していく各プログラムに共通しているものです。

 日本では、プロジェクトワイルドは財団法人公園緑地管理財団が普及と指導者の養成を行っています。ホームページ「ProjectWILD Japan」もありますので、見てみるのもいいでしょう。

 このように、ネイチャーゲームに比べると理解や行動を念頭に置いているので、学校量行くとしては、小学校は総合的な学習や6年生理科での環境教育の導入や、中学校理科での食物連鎖のしくみをゲーム的に体感して理解するなどに有効でしょう。

 私がこのエデュケーターの資格を取ったのは10年ほど前ですが、そのために泊まった宿泊施設に今は勤務しています。縁とは異なものです。

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自然体験プログラム「ネイチャーゲーム」

 自然体験プログラムで、日本で最も知られているのは「ネイチャーゲーム」ですね。(ほかにもたくさんあるので、連載で紹介していきます) これは、講習を受けた者だけに指導資格を与えるだけでなく、たくさんの本を出して、その実践を自由に認めている点が大きいと思います。(他のプログラムは、正式な講習を受けた指導者のみが実践するようになっているのが普通です)
 このネイチャーゲームは、ジョセフ・コーネル氏が1979年に著書『Sharing Nature With Children(子どもたちと自然をわかちあおう)』の中で発表した自然体験プログラムの、「日本における名称」です。ゲームと名がついているので誤解されやすいのですが、ゲームではありません。理論的なバックボーンをきちんと持つ、自然体験プログラムなのです。そして、諸感覚を用いた様々なアクティビティを通して、自然と自分が一体であることに気づくことを目的としています。ちなみに、このアクティビティは年々増えて、今では100を越えています。
 また、特徴的なのが「フローラーニング」という概念です。各アクティビティは、すべてカワウソ・カラス・クマ・イルカと呼ばれる4つの段階のいずれかに分類されていて、指導者は、この各段階を組み合わせて効果的な学習の流れをつくることができるようになっています。
 日本では、社団法人日本ネイチャーゲーム協会が日本におけるネイチャーゲームの普及にあたっています。また、ここからは、各アクティビティに使うカード等も販売されていますが、自分で作って構いません。また、授業に使うのであれば、学習内容に応じてアレンジして構わないでしょう。
 私は群馬県でもっとも初期に指導者講習を受けた者のひとりですが、植物の調査などに忙しく、地域ネイチャゲームの会には所属していません。もっとボランティア活動をするべきなのかなぁ。
 それでは、もとになったコーネル氏の本の和訳のほか、小学校や家庭・地域で行う事を前提に書かれた本をいくつか紹介しましょう。

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