帰納法と演繹法、仮説演繹法(小理科)
小学校の理科の学習法は、以前から「問題解決的な学習(問題解決学習)」で行われてきました。これは、理科的な「帰納法」(未知なものを観察・実験によって明らかにする)です。一方、その方法に対するアンチテーゼとして、理科的な「仮説演繹法」(最初に真理を示し、それを観察・実験で確認する)や「演繹法」(真理を知り、それをもとにしてさらに探求を行う)も、理科の学習方法として提案されてきました。具体的には、「有意味需要学習」や「先行学習」などです。私自身も、今回の指導要領の改訂の指針となった、2006年の中央教育審議会答申の中で述べられている「教えて考えさせる」に応じた、「演繹的推論」の有効性を示した論文を、臨床教科教育学会の会誌に2本載せています。(この研究は、学校現場を離れる事になったために中座してしまいました)
そして面白いことに、今年度から使い始めた各教科書会社の理科の教科書の多くが、この「仮説演繹」を一部取り入れているのです。その代表的な単元が、「ふりこの性質」です。最初にガリレイの逸話から彼による等時性の発見に触れ、それを確かめるために実験を行うという流れを採用している教科書が多いのです。
学習の中心は子どもです。子どもがより深く理解し、知識を得る事が大切なのです。ですから、杓子机上義的に帰納的な「問題解決的な学習」にこだわるよりも、学習内容によっては「仮説演繹法」などの良いところはどんどん取り入れていってほしいと思います。
このように、私は帰納法や演繹法などのただ1つに肩入れするつもりはありません。学習内容によって、教師がよりよい方法を選ぶことのできる「選択の幅」が広くなるような方向に、理科教育の研究が進んでいってくれればと思っています。
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